◆もう嫌だ……

 幼稚園年中さんの我が息子。最近、同じクラスのN君に目を叩かれたり、お腹を蹴られたりしているらしい。あまり目に余るようなら、先生に言うか直接お母さんに言うしかないなと思っていた矢先。
 同じバス停のお母さんから、「うちの娘が酷く虐められて、幼稚園に行きたくないと言い出した。だから、今度の音楽会でお母さんにあったら直接言うつもり。かざとさんのT君も叩かれてるんでしょう?一緒に言いましょうよ。他のお母さんも一緒に言うそうだから」
 
 ちょっと待って。

 確かにT君も被害に遭っているけど、それはうちの問題。何人もで一人のお母さんを責めるのは酷でしょう?多勢に無勢、それじゃ虐めみたいじゃないか。責められたお母さんは、逃げ場が無くなる。そんなのは嫌だ。

 だけど、そうは言えない事情がある。

 みんなで抗議しようと言い出したお母さんは、あたしが辛かった時、手を差し伸べてくれた人だった。だから反論するのが恐い。またひとりぼっちになるかもしれない。
 あたしはいいけど、子供達が遊んでもらえなくなったら可愛そうだ。どうしたらいいんだろう。どうしたらいいんだろう……。苦しくて眠れない、逃げ出す事も出来ない。憂鬱な気持ちで朝を迎えた。

 ところが

 言い出したお母さんのお子さんが当日、急性腸炎でお休みになった。そして抗議するお話も、お流れになった。ほっとする反面、卑怯な自分に嫌気がさす。
 自己保身しか頭に無い卑怯者だ。生きてる事さえ嫌になる。物語の主人公のように、自分を貫く事が出来ないんだ。

 小説を書くのが辛くなる。
 嘘だ、嘘だ、こんなのは嘘だ。

 でもこうありたいと願うから、書かなくちゃいけないのかもしれない。

 己の真実を確認して矛盾に苦しまなくちゃいけない。

 当たり前があってはいけない。

 悩んで、苦しんで、強くならなくちゃね。

 

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