昨日まで、あれほど温かかったのに。

明け方から降り始めた氷雨は、雪になった。昼になっても降り止まず、空は暗い。暖房をつけていても、体の芯が冷えるような日だった。

午前中に学校の役員会に行ったが、風邪気味の頭は回らず何を聞いてきたかよく覚えていない。
ただ、面倒な役割を逃れた安堵感と自分の愛想笑いに嫌悪を抱きながら、夕方に行かなくてはいけない場所のことだけ考えていた。

「良い奴に限って早死にする」
弔問客の列から離れ、ストーブを囲んだ同窓生の一人がそう言った。同意して頷きながら、アイツのことを思い出す。
クラスでいつも陽気だった。一番小さかったけど、一番存在感があった。ちょっと突っ走っていたけど、いつも真剣で男気に溢れていた。からかわれて、何度も喧嘩した。でも、あたしが幹事をやった飲み会で予算がオーバーした時。自腹を切ろうとしたら「カンパ」と言って手の中に札を押しつけ、ニヤリと笑った。

早すぎるよ
三人のお子さんはまだ小学生じゃないか。

何をそんなに頑張ったのさ
頑張らずにいられない奴だったと皆は言う。
でもさ、だって、死んじまったら何にもならないじゃないか。

死に顔は、生きているようだった
今にも起きだして、学生時代のように悪態をつきそうだった
これは冗談だよと、笑いながら立ち上がりそうだった。

「良い奴に限って早死にする」
ああ、その通りだね。本当に良い奴だった。
憎まれても、長生きしてくれれば良かったのに。
アイツのように必要とされてる人間が
何でこんなに早く逝かなきゃいけないんだよ。

悔しいよ、やりきれないよ。
ちくしょう……。

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