<コメント>
うーん、もう21話にもなりましたが。本編の半分もありますね、アキラ君編。多分30話くらいで終わります。あっ、そうするとクリスマスまでにアップが終わらないじゃないですか!と、いうわけで(どーゆー理由でしょう?)どうしてもラブラブな(?)優樹が書きたい自分は他の無料ページを探してみた。
ありましたねー。めんどくさがり屋の私が簡単に作れるところが。いやぁ、良かった。そこに「番外編・お遊びモード」を載っけることにしたので、覗いてみてください。今はまだテスト中ですが、行き方は「かざと ゆう」の名の頭にある、お家マークをぽちっと押してね。
 クリスマス編は24日アップ予定です。

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<本文>

「ごめんよ、遅くなって。コンビニでしつこい男に絡まれちゃってさ。連れがいるからって逃げてきたんだけど……。」
 二人に向かって微笑んだシンシアの表情がにわかに曇る。
「伏せてっ!」
 その瞬間、二メートルほど先にいたジェフにアキラは突き飛ばされた。僅かに空気が震え、コンクリートにめり込んだ黒い痕跡。
 何が起きたのかと思う間に、倒れたままの二人に駆け寄ったシンシアが銃を構える。が、その銃口は、正面に立つ黒いコートの男に向けられていた。
「穏やかじゃないわねぇ、サイレンサーでいきなりなんて。それにしてもあなた反応が良いじゃない? 海兵隊では軍曹だったそうだけど。」
 目線を銃口の先に向けたままシンシアがそう言うと、身体を起こしたジェフは苦々しい顔になる。
「取り敢えず礼を言うよ。狙われたのは俺の足らしいが、アキラに怪我はさせられねぇしな。あんたはいったい……。」
「動くな!」
 男の銃口が、新たな狙いを定めようとした僅かな動きにシンシアが叫んだ。
「自己紹介はまたの機会にするわ。早くキリアンを連れて車に乗りなさい、私があいつの動きを止めているから。」
「あんたはどうすんだ?」
「仲間がいるから心配しないで。」
 仲間? いったい何の仲間なのだろう? コンクリートに座り込んだままのアキラの手を、ジェフが引っ張った。
「いつまでも腰抜かしてるな、キリアンを入口まで連れてくるんだ!」
 わけのわからないまま、急いで店内に戻る。ジェフは車に乗るとエンジンをかけた。

 店内に向かうアキラに銃口を向けた男は、肩口をかすった銃弾に狙いを外した。
「動くなと、言ったはずよ。」
 口元に冷たい笑みを浮かべ、声の主に向き直る。
「思わぬ伏兵がいたな、腕もいい。どうやら甘く見すぎていたようだが、どのみち逃げられはせん。」
「あんたの仲間は?」
 質問には答えず、銃を上着の下のホルスターに収めて歩み寄る男からシンシアは銃口をはずさない。
「どこの組織の者だ? 〈CIA〉か? 〈FBI〉か?」
「何の事かしら? 私は悪い奴に追われている子供を助けようとしている善良なアメリカ人よ。」
 その時、入り口に回した車にアキラとキリアンが乗り込むのが見えて、運転席のジェフに「早く行け」とシンシアは手を振った。男は目を細め、遠ざかる車を見る。
「あの子が何者か、わかっているのか? 早く我々に返すんだ。」
「ただの、か弱い女の子でしょう? ちょっとした特技はあるようだけど。」
「特技?」
 男は苦々しく笑う。
「君らがどの程度の情報を得ているかは知らんがね、特技というほどのものなら我々も心配などしない。あの子の力は恐るべきものだ。奴らの手に渡ればグランド・ゼロの悲劇が全世界中で起こりかねない。」
 えっ、と、シンシアの銃口が下がった。
「手にした物の情報が読めるというだけでしょう? そんな物騒な事になんか……。」
「強者の名に甘んじて危機管理が疎かになりつつあるようだな。その結果があの悲劇を生んだのだよ。情報が読めると言うことは、僅かな資料から全てがわかると言うことだ。目に見えない残留物から使用された爆発物、その化学組成、破壊規模、全てが読みとれる。爪の先ほどの金属片から兵器の概要が読みとれる。そして彼女を狙っているのは、史上最悪と言われている国際テロ組織だ。事の重大さが理解できたならば、キリアンの向かった先を教えてもらいたい。」
「いやよ、彼らを殺すつもりでしょう? ニューヨークでの件は知ってるのよ。私たちは彼らを守るように命令されているわ。」
「殺すつもりはない、奴らの手に渡したくないだけだ。我々は彼女を守るためにノルウェーに向かう所だった。だが、同盟国権利を持ち出され、アメリカで彼女の危険性を立証しなくてはならなくなった。協力を得てより安全に隠蔽するために。おかげでこの様だ。彼女が逃げ出せるように空軍基地からの移動中、大型トラックで事故を起こしたのが君たちだということぐらい既にわかっているのだよ。」
 とぼけても無駄と判断して、シンシアも警戒を解く。男の言うように、事故を装いキリアンを逃がし、そののち拘束して相手の隠している情報を得るつもりだったのだ。キリアンが危険な『素体』だということは知らされてもその実状までは証されないと懸念したアメリカ側の策である。ジェフが保護したとわかった時点で、管理人の孫を装い近付いた。ナタリアの孫娘シンシアは麻薬中毒患者の施設に収容されており、その費用面で困っていたところに付け入ったのだ。拘束が相手に知られないよう一度身を隠すために、ジェフとの行動が隠れ蓑になるはずだった。
「あんたの言う、テロ組織とやらは? ヨーロッパからアメリカに来た時点で心配なくなったんじゃないの?」
「馬鹿が…っ!」
 男が吐き捨てた。
「奴等の本拠地はアメリカだ、とうにマークされているよ。あんな馬鹿な事故を起こさなければ、無事ノルウエーに連れて行くことが出来たものを。先に彼女が奴らの手に渡る危険があれば、抹殺せねばならん。わかったら行き先を教えるんだ。」
 シンシアの肩から力が抜ける。が、直ぐに気を取り直して男を睨んだ。
「本部に応援を頼んで後を追うわ。彼らは我々が守る、あなた達からも、テロ組織からもね。殺させはしない。」
 銃を収め、シンシアは駐車場に止まっていたランドローバーに乗り込んだ。運転席の仲間は、窓から狙っていた銃口を下ろし車を出す。ミラー越しに、男が携帯で話す姿が遠ざかった。

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◆今回のようなシーンを書いているときが一番楽しいです。PCの前でにやにやしたり。(変態ですな)ますます嘘臭い(それを言ったらお終いだよ・泣)展開ですが、面白いからいいや。お話も最後を書いてて、今度はじんわりきています。
★LR様、感想ありがとう!気軽に一言下さいね!!
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