<コメント>
 今更ながら、ネットのありがたさを実感。なんとニューヨーク在住の人から現地の交通事情を聞いたりできるとは!居ながらにして調べられない事って無いんですね。知りたいことはどんどん掲示板で聞いてしまいます。みなさま親切に教えてくれますが、引用を許可いただいてから使うようにしています。たまには「知らないことは書くな」と厳しいご意見をいただくこともありますが(^_^;)
 アキラ君の性格が決まらなくて悩んでいましたが、鷺ノ宮と絡めることでだんだん彼の内面がわかるようになってきました。何が好きで、何が嫌いか?何をしたくてできないでいるのか?鷺ノ宮になったつもりで掘り出したいと思っています(^O^)

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<本文>

「わざわざすまないね、所轄署に取りに行ってもらうか、俺がそちらに行ったときに受け取るかするつもりだったんだ。」
「ついでがあったんですよ。今日は報道部にいる佐野の叔父さんの所に来たんです。」
「ああそうか、石井さんだね。そちらの用はもう済んだのかい?」
 アキラはCDのケースを手渡した。
「佐野はまだ報道部にいますよ。俺の用はこれだけですから外で時間をつぶそうかと思っています。」
「何だか悪かったなぁ。俺に時間があれば署内を案内してあげるんだけど、生憎これから成田空港までアメリカに研修に行ってた先輩を迎えに行かなくてはならないんだ。」
「成田に? 俺も友人を迎えに夕方、成田に行くんですよ。」
「何時の便だい?」
「十八時三十分着です。」
 神崎は、なあんだ、と、言って笑った。
「俺の方とそう時間が変わらないから、良かったら送っていくよ。都合悪いかな?」
「神崎さんの車ですか? それとも警察車両ですか?」
「パトカーに乗りたいのかい? 残念ながら、警察車両だがパトカーではないよ。」
 からかうような口調にアキラは肩をすくめる。
「小学生じゃないんですから、パトカーに乗せてくれなんて言いませんよ。パンダカラーの車でないなら是非お願いします。」
 渋滞を見越し、すぐに出るから外で待つようにと言って、神崎は刑事課に戻っていった。
 アキラは受付で報道部に連絡を取ってもらい、電話口に出た石井に事情を説明してから正面入り口の前で神崎を待った。時間的にはかなりの余裕があったが、見上げた空の雲行きが怪しい。成田空港まで、渋滞に巻き込まれない限りここから二時間もあれば着けるはずだが、雨ともなればそうはいかないだろう。
 手を挙げ合図した神崎の車に近づき、アキラは窓越しに尋ねた。
「助手席に座っても良いですか?」
「いいとも。」
 警察車両の助手席に座れるのは、ちょっと嬉しい。斜に構え、何時も冷静なアキラのそんな子供っぽい意外な一面を垣間見て、神崎は微笑んだ。
「そう言えば、報道部に鷺ノ宮というカメラマンが居ただろう?」
車を発進させ、表通りに出たところで神崎がアキラに話しかけた。
「はあ、会いましたよ。」
「彼とは話をしなかったのかい?」
「別に、何も。」
 しかしアキラは興味なさそうな返事を返す。
「残念だな、君とは話が合いそうだと思っていたんだが。」
 時折入る警察無線に耳を傾けながら窓の外を見ているその表情は変わらない。変わらないが故に、何かあったな、と、神崎は思った。 署内で鷺ノ宮の話題と言えば、現場で警官と喧嘩したとか、立入禁止の場所を無許可で撮影したとか、あまり良い噂がない。神崎が機動隊にいた頃、勝手に制服を拝借して暴力団事務所の一斉検挙に紛れ込んだこともあった。時間があれば県警内にある道場で柔道の練習をしているその体格は、神崎よりも機動隊員の制服がむしろふさわしくさえあり、いつものだらしない格好よりはすらりとした長身とがっちりした体格を際だたせていた。しかし常に危険に身をさらし、まるで死に急いでいるように見えるのだ。
 相通じる所など何もないはずだった。それでも鷺ノ宮とアキラは同じ匂いがするのだ。喩えて言うならば、それは硝煙の匂い。生死を分かつ、現場の匂いだ。その正体が神崎は知りたかった。

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◆どうでしょう?鷺ノ宮君。ちょっと気になる存在です。機動隊で神崎さんともめたことがあったかも知れませんね。次の出番は三部になります。覚えていてあげてください(^_^)v
◇次回14日アップ予定です。

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