私立むらくも学園怪奇譚・番外(杏子 編)再4
2003年10月31日<コメント>
2000ヒット踏んだ人、教えてね。その方に登場人物を一人作ってもらいたいと思っています。
さて、風邪からくる腸炎で(下痢ですな、つまり)先週金曜日よりずっと幼稚園をお休みしてたチビが、昨日から復活。やれやれ、やっとゆっくりPCの前に座れます。
というわけで、資料調べ。「なるほど、バイクを運ぶ車をトランポというのか。舞台は小諸が妥当かな?館山からだと7時間は見ておくか。」2部、冒頭からアキラと遼のツーショット。深い霧の信州路。
ツタヤでニューヨークのガイドブック。「雨のバスターミナルで運命の出会い…って、なんじゃこりゃ?巨大ターミナル。ポート・オーソリティ・バスターミナル?フロアマップないの?」アキラ君編、先行き不安。
……がんばるぞー!!
余談ですが、ニュースで「デビルマン」実写化情報をを見た。うっ、いけてるじゃん。でも完成作見るときっとがっかりするんだろうなぁ。
:::::::::::::::::::::
<本文>
当然、朝から授業が身に入る訳なんてない。落ち着かないあたしの様子がわかったらしく、三限目が終わった休み時間に親友の琴美が心配そうにいきなりあたしの顔を覗き込んだ。
「深刻な顔しちゃって、いったいどうしたのかなぁ? お姉さんに言ってごらん。」
「琴美ぃ、どうしよう。とうとう遼君映画に誘っちゃったぁ。」
琴美が、なぁんだ、と言って笑う。
「断られたんだ。」
「違う。一緒に行ってくれるって。」
「あ、じゃあ、優樹先輩が一緒だから面白くないんだ。」
「それも違うの。遼君の方から、優樹抜きで行こうって言ってくれたんだ。」
「ははぁん。それで? 」
あたしは思いっきり情けない顔になった。
「彼、あたしのことどう思ってるかなぁ? 」
「親友のいとこ。」
「うわぁーん、琴美のいじわるっ! 」
机に突っ伏したあたしの髪を、琴美はつんつんと引っ張る。
「あんたねぇ、それはないんじゃない? 一緒に映画に行く約束してたのは、あたしのはずだよ、裏切り者。あーあ、女の友情は脆くもはかない。所詮男には敵わないんだ。」
その言葉にはっとして顔を上げると、琴美は少し怒っているみたいだった。
「ゴメン……。あたしってば自分のことしか考えてなくて。」
「いいよ。あたしも杏子の恋を応援してるんだから。」
たぶんこれ以上ないってくらい、その時のあたしは情けない顔をしてたんだとおもう。琴美はすぐにあきらめたように肩をすくめた。
「それにしても秋本遼とデートなんて、この学園が普通の共学校だったら他の女子に殺されるよ、あんた。」
「デートだなんて……。それほどの事じゃないよ。」
「だいたい、あの二人と何時も一緒にいられるあんたが、どれだけ他の女子の羨望を集めているか知ってんの? もともとスポーツ万能の優樹先輩は人気があったけど、あの事件の後ちょっとカッコ良くなったって、秋本先輩の人気が急上昇したんだから。二人を取り巻く視線に気付かない?」
「えっ、そうなの?」
「もう、大馬鹿っ!」
常に剣道の県大会で上位に入り、インターハイにまで出場を決める優樹は、球技はバスケット、陸上は中距離と、他の運動競技でも必ず目立った活躍をしている。容姿もまあ、普通よりイケてる方だと思うから女子の人気が高いのは頷ける。でも遼くんに関しては演劇部部長の倉持女史のような美形好みの一部女子生徒の支持はあっても、頼りなさそうで影のあるところが今まであまり他の女子生徒の興味対象とならなかったはずなのに……。
「あたしは最初から遼くんだもん、そんなの知らないわよ。」
「あら、そうだったかしら?」
琴美が訳知り顔をする。
「確か、幼稚園の時は優樹と結婚するって言ってたぞ。」
「もうっ! その話は時効でしょっ! それに諦めた原因は琴美じゃない。」
あたし達二人は一緒の幼稚園に通っていて、当時は毎日必ずどちらかの家で遊ぶほどに仲が良かった。小・中学校は、学区の違いから同じ学校に行けないことがわかって卒園式では大泣きした覚えがある。でもその時に幼いながらもいつかきっと同じ学校に通うと約束して、「叢雲学園」で再会する事が出来た。おかげで今、琴美は大事なあたしの親友。
「年長組の時、将来の夢を聞かれて確かに『優樹のお嫁さんになる』って聞いたな。」
「小さい頃はそう思ってたわよ。でも琴美が『いとことは結婚できない』って言ったんじゃない。あの時あたし、すごく悲しくなって何時間も泣いたんだよ。」
「あはっ! 悪かったと思ってるって。だって優樹先輩とあんたがあんまり仲良くて、面白くなかったんだ。でも実は、知ってて言った訳じゃなくて、意地悪で言ったんだよね。それが本当だってわかったの、中学に入ってからだもん。結果としては良かったんじゃないの? 傷が浅いうちに諦められたんだし。今は秋本先輩一筋でしょう? 」
琴美の言葉に、あたしはまた泣きそうになる。
「ねえ、聞いてみた方がいいかなぁ? 誰か好きな人、いるかどうか。あたしの事、どう思ってるか。」
「そうねぇ……。彼、優しそうだからはっきりとは言わないと思うけど、最悪、妹のように思ってる、ってとこかな。」
「やっぱり? やっぱりそう言うと思う?」
琴美の意地悪。なんだか本当に涙が出てきちゃいそう。琴美があたしの潤んだ目にあわててティッシュケースを手渡してくれた。
「いいじゃない、それでも。そう言われたら妹以上になれるように頑張ればいいんだからさ。まずはどのへんの位置にいるか、聞いてみなくちゃ始まらないでしょ。がんばれ。」
「うん。」
あたしはようやく、笑うことが出来た。
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★3部登場予定の「鬼龍 聖也」くん、朱雀校の生徒会長です。(お姉さんは卒業してます)楽しく設定中。うーんと悪いヤツにしたいな。
<叢雲ご意見掲示板>
http://www.ad-office.ne.jp/cgi-bin/bbs/ad1.cgi?8429maki
2000ヒット踏んだ人、教えてね。その方に登場人物を一人作ってもらいたいと思っています。
さて、風邪からくる腸炎で(下痢ですな、つまり)先週金曜日よりずっと幼稚園をお休みしてたチビが、昨日から復活。やれやれ、やっとゆっくりPCの前に座れます。
というわけで、資料調べ。「なるほど、バイクを運ぶ車をトランポというのか。舞台は小諸が妥当かな?館山からだと7時間は見ておくか。」2部、冒頭からアキラと遼のツーショット。深い霧の信州路。
ツタヤでニューヨークのガイドブック。「雨のバスターミナルで運命の出会い…って、なんじゃこりゃ?巨大ターミナル。ポート・オーソリティ・バスターミナル?フロアマップないの?」アキラ君編、先行き不安。
……がんばるぞー!!
余談ですが、ニュースで「デビルマン」実写化情報をを見た。うっ、いけてるじゃん。でも完成作見るときっとがっかりするんだろうなぁ。
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<本文>
当然、朝から授業が身に入る訳なんてない。落ち着かないあたしの様子がわかったらしく、三限目が終わった休み時間に親友の琴美が心配そうにいきなりあたしの顔を覗き込んだ。
「深刻な顔しちゃって、いったいどうしたのかなぁ? お姉さんに言ってごらん。」
「琴美ぃ、どうしよう。とうとう遼君映画に誘っちゃったぁ。」
琴美が、なぁんだ、と言って笑う。
「断られたんだ。」
「違う。一緒に行ってくれるって。」
「あ、じゃあ、優樹先輩が一緒だから面白くないんだ。」
「それも違うの。遼君の方から、優樹抜きで行こうって言ってくれたんだ。」
「ははぁん。それで? 」
あたしは思いっきり情けない顔になった。
「彼、あたしのことどう思ってるかなぁ? 」
「親友のいとこ。」
「うわぁーん、琴美のいじわるっ! 」
机に突っ伏したあたしの髪を、琴美はつんつんと引っ張る。
「あんたねぇ、それはないんじゃない? 一緒に映画に行く約束してたのは、あたしのはずだよ、裏切り者。あーあ、女の友情は脆くもはかない。所詮男には敵わないんだ。」
その言葉にはっとして顔を上げると、琴美は少し怒っているみたいだった。
「ゴメン……。あたしってば自分のことしか考えてなくて。」
「いいよ。あたしも杏子の恋を応援してるんだから。」
たぶんこれ以上ないってくらい、その時のあたしは情けない顔をしてたんだとおもう。琴美はすぐにあきらめたように肩をすくめた。
「それにしても秋本遼とデートなんて、この学園が普通の共学校だったら他の女子に殺されるよ、あんた。」
「デートだなんて……。それほどの事じゃないよ。」
「だいたい、あの二人と何時も一緒にいられるあんたが、どれだけ他の女子の羨望を集めているか知ってんの? もともとスポーツ万能の優樹先輩は人気があったけど、あの事件の後ちょっとカッコ良くなったって、秋本先輩の人気が急上昇したんだから。二人を取り巻く視線に気付かない?」
「えっ、そうなの?」
「もう、大馬鹿っ!」
常に剣道の県大会で上位に入り、インターハイにまで出場を決める優樹は、球技はバスケット、陸上は中距離と、他の運動競技でも必ず目立った活躍をしている。容姿もまあ、普通よりイケてる方だと思うから女子の人気が高いのは頷ける。でも遼くんに関しては演劇部部長の倉持女史のような美形好みの一部女子生徒の支持はあっても、頼りなさそうで影のあるところが今まであまり他の女子生徒の興味対象とならなかったはずなのに……。
「あたしは最初から遼くんだもん、そんなの知らないわよ。」
「あら、そうだったかしら?」
琴美が訳知り顔をする。
「確か、幼稚園の時は優樹と結婚するって言ってたぞ。」
「もうっ! その話は時効でしょっ! それに諦めた原因は琴美じゃない。」
あたし達二人は一緒の幼稚園に通っていて、当時は毎日必ずどちらかの家で遊ぶほどに仲が良かった。小・中学校は、学区の違いから同じ学校に行けないことがわかって卒園式では大泣きした覚えがある。でもその時に幼いながらもいつかきっと同じ学校に通うと約束して、「叢雲学園」で再会する事が出来た。おかげで今、琴美は大事なあたしの親友。
「年長組の時、将来の夢を聞かれて確かに『優樹のお嫁さんになる』って聞いたな。」
「小さい頃はそう思ってたわよ。でも琴美が『いとことは結婚できない』って言ったんじゃない。あの時あたし、すごく悲しくなって何時間も泣いたんだよ。」
「あはっ! 悪かったと思ってるって。だって優樹先輩とあんたがあんまり仲良くて、面白くなかったんだ。でも実は、知ってて言った訳じゃなくて、意地悪で言ったんだよね。それが本当だってわかったの、中学に入ってからだもん。結果としては良かったんじゃないの? 傷が浅いうちに諦められたんだし。今は秋本先輩一筋でしょう? 」
琴美の言葉に、あたしはまた泣きそうになる。
「ねえ、聞いてみた方がいいかなぁ? 誰か好きな人、いるかどうか。あたしの事、どう思ってるか。」
「そうねぇ……。彼、優しそうだからはっきりとは言わないと思うけど、最悪、妹のように思ってる、ってとこかな。」
「やっぱり? やっぱりそう言うと思う?」
琴美の意地悪。なんだか本当に涙が出てきちゃいそう。琴美があたしの潤んだ目にあわててティッシュケースを手渡してくれた。
「いいじゃない、それでも。そう言われたら妹以上になれるように頑張ればいいんだからさ。まずはどのへんの位置にいるか、聞いてみなくちゃ始まらないでしょ。がんばれ。」
「うん。」
あたしはようやく、笑うことが出来た。
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<叢雲ご意見掲示板>
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