<コメント>
 今日から数回にわけて「神崎刑事・編」をアップします。
 学園が舞台でないので、ちょっと大人っぽく書きたいな、と。(変わらないんですけどね、文才ないから)でも悩みの種が仕事や恋愛になっている(つもり)です。
 自分のお話では、脇役は別として、メインのキャラは例え悪党でもどこか善人だったりします。そうあって欲しいと思うからですね。
 でも、根本的に悪意に満ちた人もいることも確かです。今まであまり出会ったことはありませんが、他人の誹謗中傷に全身全霊を注いでいる人。それまでいったい何があったんでしょうね。
「自分でなくて良かった」と思うためだけに事件被害者の手記を買って読むと言いきった人。毎日顔を合わせるのが辛いなぁ。

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<本文>


私立むらくも学園怪奇譚 一 
(番外・神崎宏司)


 デスクに積み上げられた書類に顔を埋めて、神崎は深い溜息をついた。せめてこれが仕事絡みならいくらか気が楽なのだが。
 千葉県警捜査一課のあるこの部屋に何時も殺気立った空気が漂っているわけではない。まさに今日はそんな数少ない静かな日であり、それがかえって神崎を悩ませる結果となっていた。
 交通課の若い婦警が数人固まって開け放されたドアの向こうを通り過ぎる。同じ署内にいながら何故か近づきがたい存在に感じるのは、はたして自分だけなのだろうか。
「若い子はいいねぇ。あいつら多分給湯室だな、ちょっと茶菓子でもいただいてくるか。」
 向かいのデスクの濱田がおもむろに立ち上がった。若い女の子に遠慮がないのは年の功か? もしくは彼に同じくらいの年頃の娘がいるためかも知れない。
「おまえの分もいるだろう?」
「はあ、自分は別に……。」
 彼の答えを待たずに、濱田は部屋を出ると婦警の後から奥にある給湯室に入っていった。

 暫くして濱田は自分にお茶、神崎にコーヒーを入れたマグカップをトレーに載せて戻ってきた。自分のカップは、たいがいが飲みかけのままデスクに置きっぱなしになっているのだが、多分総務の女の子が片づけてくれているのだろう。
 濱田はカップと一緒に綺麗な包み紙に入った焼き菓子を神崎の前に置いた。
「最近近所に出来たケーキ屋の新作だそうだ。聞いたことない店だな。」
「ありがとうございます、濱田さん。……ああこれは、かなり離れたところの店ですよ。大方パトロールのついでに買ってきたんでしょうね。彼女たちのチェックは駐車違反だけではないようですから。」
 薄いピンク色に白いレース模様のある包紙に書かれた金色の文字を見て神崎が答える。
「おまえ、良く知ってるな。うん旨い、この店の場所教えろよ。かみさんにそのうち土産に買ってってやろう。」
 濱田はそこそこの大きさのある焼き菓子を、一口で食べてしまった。
「いいですよ。そこはケーキより焼き菓子が美味しいそうです。買いに行く前に彼女たちにお勧めを聞いていったらどうですか?」
「ううむ、若い子は苦手でなぁ……。おまえ聞いておいてくれないか。」
 神崎は苦笑した。
「都合のいいことを言わないでくださいよ。濱田さんは苦手なんじゃなくて、面倒なんでしょう? 何時もそうなんだからなぁ。俺だって女の子と話すのは苦手です。」
 濱田が意外な顔をする。
「早川とは普通に話してるぞ。」
「彼女は同僚です。」
 ニヤリ、と、濱田が笑った。
「同僚は女の子じゃないのか。早川が聞いたら気を悪くするぞ。」
「やっ、止めてください。余計なことを言うと……。」
「何の話ですか?」
 慌てる神崎の後ろでハスキーだが感じの良い響きのある女性の声がした。

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★カウントがあっという間に2000ヒット行きそうだよ。自分の知る限りじゃ5人くらいしか読んでないはずなのに。
 1000ヒットしてくれた「りんせっと」さん。リクエスト決まりましたでしょうか?

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