私立むらくも高校怪奇譚 1(第24回)
2003年9月3日<コメント>
お馬鹿な私。500ヒット自分で踏んでたわ。でもそれはそれで嬉しいんだけど。
補足設定書き足してアップし直したときに丁度でした。まあ、いいっかー。
多分知人くらいしか読んでないので、プリント希望の人はメールしてね。簡易製本(ホチキスで留めるだけさっ!)して送ります。感謝を込めて・・・。
:::::::::::::::::::::
<本文>
翌日は嘘のような快晴になった。紺碧の空は高く、雲ひとつない。風は夏の湿り気のある重いものから乾いた軽いものにと変わっていた。叢雲学園の白壁は昨夜の雨に洗われ、朝日を受けて輝いてみえる。
「よう、おはよう。」
教室に入る手前で、遼は優樹に呼び止められた。
「昨日は無事に帰られたの?」
「ん、ああ。酷い目にあったけど、なんとかな。」
みれば右手の肘に包帯を巻いている。
「怪我、してるじゃないか。」
「大したことないよ。リアが滑って、横滑りに一回転したんだけど、持ち前の機敏さで下敷きにならずにすんだからな。ちょっと擦りむいただけさ。」
そう言いながら笑う彼は、いつもの優樹に思えた。眩しいほどの笑顔だ。
「じゃあ、また放課後に写真部で。剣道部の方に出てから行くから、遅くなるってアキラ先輩に伝えておいてくれよな。」
「あっ……。」
遼は何かを言いかけた。が、言葉が見つからない。いつも真っ直ぐに相手の目を見て話す彼が、遼と目を合わせないままその場を後にする。
遼の脳裏に昨夜のアキラの言葉がよみがえった。
(優樹にとって僕は……。)
常に自信に満ちている彼が、自分のする事に疑いを持つなどあり得ないのではないだろうか? 誰かを必要とすることなどあり得ないのではないだろうか?
口に出して、聞いてみたい気がした。
(でもそんなこと出来ない。)
彼の中にある優樹が、壊れてしまいそうで怖かった。
事件の後、手を付けることが出来なかった文化祭用の作品を仕上げるために、遼は放課後美術室に向かった。
「おう、秋本。大変だったな。」
美術部顧問の八街が彼を見つけて声をかけた。
「いや、参ったね。あの濱田とかいう刑事には。しつこいの何のって……。同じ質問を繰り返し聞かれるんだ。」
どうやら彼も警察からかなり何度も事情徴収されていたらしい。
「先生は何を聞かれたんですか? 」
遼はすぐに若い刑事、神崎と一緒にいた体躯の良い五十代くらいの刑事を思い浮かべた。一見、刑事というより暴力団関係者といった風体で、短く刈り込んだ髪とダークカラーの上着、ノーネクタイのその姿はどこかだらしなく見えた。しかし彼の眼光の鋭さは強く印象に残っている。
「うむ。あの石膏像が、何時から此処にあったかをな、聞かれても覚えがなくってなぁ。俺は元々備品の管理には疎いし、どこに何があったかすぐに忘れるだろう? 」
確かに八街には少しルーズなところがあり、夏休み前にも倉庫の鍵をなくして大騒ぎになったことがあった。そのおかげでいつも成田先生に小言を言われているのだ。
「そう、そしたら成田先生がな、夏休み中にあれが棚にあるのに気が付いていたんだよ。だが倉庫に一人で片づけるのも大変だし、かといってあんな気持ちの悪いものをそのまま置いておくのもいやだからと布をかけて棚の下に置いたんだそうだ。おまえがその布に気付いたのは、清掃中に誰かがほうきでも引っかけて引きずったからだろうって話だ。」
石膏像を、成田智子が一人で倉庫まで運ぶことはおそらく無理だ。彼女は学園一小柄で、遼と並んでも三十センチは身長差がある。正確な年齢は知らないが、三十代半ばながら遠目に中学生に間違えられたこともあるぐらいだ。その彼女が石膏像を両腕に抱えた姿を想像すると、、つい可笑しくなって遼は口元を押さえた。
「先生に片づけてくれって頼まなかったんですか?」
「それが、そのまま忘れていたと言うんだな。」
「そう、ですか。」
忘れていた……。彼女に限ってそんなことがあるのだろうか?
「文化祭用の作品は仕上がったのか? 秋本。」
横から美術部部長の三年生、来栖弘海が話に割り込んだ。
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<コメント2>
来栖弘海君、ニューキャラです。実は自分、彼のタイプがすき。どんなヤツかは明日見てやってね。(でも私の人間性が疑われるかも?)
それにしても男の子ばっかり・・・。
<叢雲ご意見掲示板>
・キャラ裏設定紹介してます。感想などありましたら遠慮なくどうぞ!
http://www.ad-office.ne.jp/cgi-bin/bbs/ad1.cgi?8429maki
お馬鹿な私。500ヒット自分で踏んでたわ。でもそれはそれで嬉しいんだけど。
補足設定書き足してアップし直したときに丁度でした。まあ、いいっかー。
多分知人くらいしか読んでないので、プリント希望の人はメールしてね。簡易製本(ホチキスで留めるだけさっ!)して送ります。感謝を込めて・・・。
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<本文>
翌日は嘘のような快晴になった。紺碧の空は高く、雲ひとつない。風は夏の湿り気のある重いものから乾いた軽いものにと変わっていた。叢雲学園の白壁は昨夜の雨に洗われ、朝日を受けて輝いてみえる。
「よう、おはよう。」
教室に入る手前で、遼は優樹に呼び止められた。
「昨日は無事に帰られたの?」
「ん、ああ。酷い目にあったけど、なんとかな。」
みれば右手の肘に包帯を巻いている。
「怪我、してるじゃないか。」
「大したことないよ。リアが滑って、横滑りに一回転したんだけど、持ち前の機敏さで下敷きにならずにすんだからな。ちょっと擦りむいただけさ。」
そう言いながら笑う彼は、いつもの優樹に思えた。眩しいほどの笑顔だ。
「じゃあ、また放課後に写真部で。剣道部の方に出てから行くから、遅くなるってアキラ先輩に伝えておいてくれよな。」
「あっ……。」
遼は何かを言いかけた。が、言葉が見つからない。いつも真っ直ぐに相手の目を見て話す彼が、遼と目を合わせないままその場を後にする。
遼の脳裏に昨夜のアキラの言葉がよみがえった。
(優樹にとって僕は……。)
常に自信に満ちている彼が、自分のする事に疑いを持つなどあり得ないのではないだろうか? 誰かを必要とすることなどあり得ないのではないだろうか?
口に出して、聞いてみたい気がした。
(でもそんなこと出来ない。)
彼の中にある優樹が、壊れてしまいそうで怖かった。
事件の後、手を付けることが出来なかった文化祭用の作品を仕上げるために、遼は放課後美術室に向かった。
「おう、秋本。大変だったな。」
美術部顧問の八街が彼を見つけて声をかけた。
「いや、参ったね。あの濱田とかいう刑事には。しつこいの何のって……。同じ質問を繰り返し聞かれるんだ。」
どうやら彼も警察からかなり何度も事情徴収されていたらしい。
「先生は何を聞かれたんですか? 」
遼はすぐに若い刑事、神崎と一緒にいた体躯の良い五十代くらいの刑事を思い浮かべた。一見、刑事というより暴力団関係者といった風体で、短く刈り込んだ髪とダークカラーの上着、ノーネクタイのその姿はどこかだらしなく見えた。しかし彼の眼光の鋭さは強く印象に残っている。
「うむ。あの石膏像が、何時から此処にあったかをな、聞かれても覚えがなくってなぁ。俺は元々備品の管理には疎いし、どこに何があったかすぐに忘れるだろう? 」
確かに八街には少しルーズなところがあり、夏休み前にも倉庫の鍵をなくして大騒ぎになったことがあった。そのおかげでいつも成田先生に小言を言われているのだ。
「そう、そしたら成田先生がな、夏休み中にあれが棚にあるのに気が付いていたんだよ。だが倉庫に一人で片づけるのも大変だし、かといってあんな気持ちの悪いものをそのまま置いておくのもいやだからと布をかけて棚の下に置いたんだそうだ。おまえがその布に気付いたのは、清掃中に誰かがほうきでも引っかけて引きずったからだろうって話だ。」
石膏像を、成田智子が一人で倉庫まで運ぶことはおそらく無理だ。彼女は学園一小柄で、遼と並んでも三十センチは身長差がある。正確な年齢は知らないが、三十代半ばながら遠目に中学生に間違えられたこともあるぐらいだ。その彼女が石膏像を両腕に抱えた姿を想像すると、、つい可笑しくなって遼は口元を押さえた。
「先生に片づけてくれって頼まなかったんですか?」
「それが、そのまま忘れていたと言うんだな。」
「そう、ですか。」
忘れていた……。彼女に限ってそんなことがあるのだろうか?
「文化祭用の作品は仕上がったのか? 秋本。」
横から美術部部長の三年生、来栖弘海が話に割り込んだ。
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<コメント2>
来栖弘海君、ニューキャラです。実は自分、彼のタイプがすき。どんなヤツかは明日見てやってね。(でも私の人間性が疑われるかも?)
それにしても男の子ばっかり・・・。
<叢雲ご意見掲示板>
・キャラ裏設定紹介してます。感想などありましたら遠慮なくどうぞ!
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