<コメント>
お久しぶりでございます!たっぷりと田舎で続きを書いてまいりました。待っててくれた人も、そうでない人も、読んでやってくださいませ。
 メルマに登録してくれた人は、3回分ダブリます。ごめんなさい。新しいお話は、9月の2日に配送です。
 

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<本文>

 この学園には、何層にもわたる地下通路と秘密の地下室が存在する。そう噂されてきたのはかなり前からだ。戦時中の捕虜収容所だとか人体実験室だとかまことしやかに学生達の間で囁かれ、話を聞きつけたワイドショー番組が調査に入ったことさえあったが、その痕跡を見つけることはとうとう出来なかった。
 しかし地階は確かに存在し、実のところは倉庫と防空壕に使われていたらしい。今現在、その大半は重い鉄の扉に頑丈な閂が掛かり立入禁止となっているが、幾つかは学園の倉庫代わりの不要品置き場となっている。閂の向こうに何があるのか、それを知る者は今や存在しない。
「二人とも、石膏像をしまい込んだ地下倉庫が何処にあるか知ってるか?」
 アキラの質問に優樹は首を横に振る。しかし遼は知っているという顔で頷いた。
「秋本は美術部だからな。よく倉庫に資材を取りに行ったりしているわけだ。しかし運動部の篠宮のように、用がない限り誰もが倉庫の場所を知ってるわけじゃない。」
「何処にあるんですか?」
 ふてくされ気味に優樹が聞き返す。
「体育館のステージの下、そこに地下倉庫に繋がる入り口があるんだ。倉庫はそこを通った裏の断崖の中にある。」
「えっ、やっぱり秘密の実験室とかが・・・。」
「それはどうか解らないが、結構奥行きがあって長い廊下づたいに使途不明の部屋が幾つかあることは本当らしいよ。残念ながら倉庫から先には行けないようになってるけどね。」
 がっかりした様子の優樹にアキラが笑う。
「いずれにしても、倉庫に使用されてる部屋は三部屋あるし、それなりの広さがある。犯人はどうやって石膏像がしまわれている場所を知ったんだろう?何故誰にも知られずに持ち出し、美術室に運び込むことが出来たんだろう?」
「学園の関係者がやったんじゃないかって、言うんですね。」
 遼の言葉にアキラは微笑んだ。
「まっ、そういうこと。少なくとも学園の事をよく知る人間、もしくは協力者がいるか、だな。興味ないか?」
「先輩は犯人探しをするつもりなんですか?」
 優樹が再び身を乗り出す。
「いやぁ俺は単に好奇心からなんだけどね、実はうちのOBに県警の報道部の人間がいてさ、何かネタがないかって言われてるんだよ。それで今日これから佐野と倉庫に行って写真でも撮ってこようと思ってるんだ。どうかな、君等も行ってみないか?」
 優樹は興味をそそられたが、はたして遼はどうなのだろうと思う。倉庫に行ってみたところで何かが解るとは思えない。それに実の姉を殺害した犯人を探すような真似を、彼は望んでいるのだろうか?
 両手を組んだ上に顎を乗せ、うつむいたまま考えていた遼が顔を上げた。
「行きます。」
「おっ、俺も!」
 二人の同意を得て、アキラは足下のカメラバックを肩に担いだ。
「決まり・・・だな。」

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<叢雲ご意見所>
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