私立むらくも高校怪奇譚　1（第15回）

＜コメント＞
　毎日雨でイヤになりますね。「雨は好きさ、分け隔てなく誰にでも降り注いでくれる。」と言ったのは誰だったか・・・。（古・笑）

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＜本文＞

　彼がアメリカで知り合った友人から送ってもらっているというキューバ産のコーヒーは、酸味や癖が少なくほのかに甘い。このコーヒーのファンは教師の中にもいるくらいで、譲って欲しいと言われれば彼は誰にでも気前よく豆を譲っていた。彼が人にコーヒーを入れてくれることなど滅多になかったが、それは誰にもだせない味と香りで心の奥底までいやされる気分にさせてくれるのだ。
　優樹は熱いコーヒーを口にして、背中がふっと軽くなった気がした。ミルクと砂糖を何時も入れる事を以前岡田から聞いていたアキラは、用意が無くて悪いね、と、彼には少し薄めに入れてくれていた。
「先輩、俺、秋本に悪い事したと思ってるんだけど、なんかさ、関係ないって言われて・・・。」
「あー、面白くないわけね。」
　素直に優樹は頷く。優樹自身、何故自分が面白くないのか解っている。だが何処かでそれを認めたくはなかった。いつもなら叔父の田村が話し相手になってくれるのだが、今回のことで遼の話を切り出すのはなんとなく躊躇われる。しかし誰かに話さなければ冷静になれそうもなかった。
　普段から二人の関係を見ているアキラには、土曜日の事件がどういった波紋を彼らに起こしたのか用意に推察できた。
「で、おたくはどうしたいの？」
「どうって言われても・・・。」
「力になりたいんだろ？」
　優樹はとまどった。アキラの言うとおりだが、遼からは拒否されている。返答できずにいる優樹にアキラが困ったように笑った。
「ほんと、おたくは気が短い。もう少し秋本が落ち着くまで待ってやれよ。そしたら自分に何が出来るか、ヤツがどうして欲しいか見えてくるんじゃないか？」
「でも・・・。」
「やれやれ、うっとおしいのはらしくないぜ。少し身体、動かしてこいよ。おたくに必要なのはまず自分を取り戻すことさ。」
　アキラの言うとおりだ。遼はカップを置き礼を言うと、部活に出るため足早に写真部を後にした。
　岡田はそれを見送り、ちぇっ、と、小さく呟く。
「悪いね、味方になれなくて。」
　アキラはそう言うと、岡田のカップにもう一杯コーヒーを注いだ。

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＜叢雲ご意見所＞
・キャラ裏設定紹介してます。
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