ゴメンナサイ。第13回が消えてました。同日にお知らせを入れちゃったからですね。もう一度アップします。長くなってイヤな人は分けて読んでください。

◇私立むらくも高校怪奇譚 1(第13回)(2003-07-18)
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<コメント>
 カウント見て気が付いた。最近火曜と木曜に更新してたから、その曜日の次の日にカウントが増えてる。毎回読んでくれてる人いるんだなーと嬉しい。ありがとう!
 ところで、重大な訂正。(・・・と言うほどじゃないですが。)田村さんのペンション名を「ゆりあらす」に変更です。やあ、実は「スローターハウス」がとんでもない意味で、これだとちとまずいのです。うっかりしてました。しっかり調べてから使います。m(_ _)mぺこり
 では、今回もクサイ友情におつきあい下さい。

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<本文>

「何度もすまないね、優樹君。」
 この学園の卒業生だという彼に、優樹は少なからず好意を持ち始めていた。他の刑事に比べ、階級が下の者に対しても居丈高なところがまるでなく、優樹や遼と話すときはきちんと対等に話してくれる。今時の青年らしい気の利いた薄いグレーのスーツに、派手ではないが明るめの細いネクタイが品よく似合っていた。遼には姉が一人いるが、こういう兄がいたなら良かったのにと思う。
「実はあの石膏像なんだけど、夏休み前は美術室になかったということが解ってね。どうやら夏休み中に誰かがあそこに置いたらしいんだけど・・・。」
「俺じゃないですよ。」
 慌てる優樹に神崎は笑った。
「君と遼君を疑ってるわけじゃないよ。しかし確認は取っておかないとね。それから土曜日、部活は確か午前中で午後からは自主トレだったそうだね。」
 しまった、という表情を、神崎は見逃さない。
「君は2時半頃まで確かに武道館で自主トレをしていたそうだが、その後、遼君を迎えに行った五時まで何処で何をしていたのかな?」
 直接事件とは関係のないことであったし、誰にも聞かれなかったため優樹は敢えて言う必要はないだろうと思っていた。取り立ててやましいことをしていたわけではないのだが、知られるとちょっと困る。
「何か隠し立てしなければならないようなことでもあるのかな?」
 刑事の顔で問いつめられて、優樹は観念した。
「あー、えっと。その・・・写真部の部室で、読書・・・のようなことを・・・。」
 ああ、と、神崎には思い当たることがあった。彼が学生の時から写真部の部室は男子学生のたまり場で、そこでよく先生に隠れて持ち込んだグラビア雑誌を見ていたものだ。
(濱田さんの思い過ごしでは・・・。)
 第一発見者とは親しくなれ、と、濱田は神崎によく言っていた。それは第一発見者がそのまま容疑者になる場合が多いことも理由だが、そうでなくてもその者だけが感じた何かがそこにあった可能性が否定できないからだ。感覚でも、匂いでも、第一発見者だけにしかわからないもの。それを思い出してもらうには何度も足を運び親しく話せるようになることと、現場の記憶を常に忘れないようにさせることが肝心である。
「彼らは何かを隠している。」
 濱田は神崎にそう言った。しかしそれはこんな些細な事なのだろうか。
「誰かそのとき一緒だったかな。」
「同じクラスで写真部の岡田と、三年で部長の須刈先輩と一緒でした。」
 友人に迷惑を掛けることが気がかりなのであろう、意気消沈している優樹が神崎には可笑しかった。
(初見ではもっと大人びた子だと思ったが・・・。)
 こうしてみるとごく普通の高校生である。神崎は裏をとるまでもないだろうと考え、早々に優樹を解放した。
 彼が今日この学園に来たのは、あの石膏像が誰の手で造られ運ばれたのか、そして何故今になって見つかったのかを調べるためであった。

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ここから14回です。

<コメント>

 掲示板を作ってみました。カウントも200を越えてつい嬉しかったので・・・。(ほとんど自分なんだけど(T_T))
 刑事さんはひとまず出番がありません。ぞろぞろ出てくる男の子と女の子で楽しんでね。良くある学園推理物に感じる疑問。「たったこれだけのキャラで何で事件が終わっちゃうの?」を自分では避けたいと思うのでした。(でも訳わかんなくならないようにしなくては)

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<本文>

 放課後、優樹はクラスメイトの岡田と連れ合って写真部の部室に顔を出した。カメラを磨いたりフィルムや写真の整理をしている数人の部員のいる机から離れた部屋の隅に、パイプ椅子をいくつか並べ、顔に白いハンカチを載せて寝ている学生がいる。二人は並んでその前に立った。
「アキラ先輩すみません、俺のせいで・・・。」
「うん、何の事かなぁ?」
 優樹の言葉に、寝ていた学生はそのままの姿勢で答える。
「あの、刑事が来ませんでしたか、先輩のところに。」
「おたく、面白いもん見つけたんだってなぁ。」
 顔にかかったハンカチを取り、須刈アキラが優樹に向かってにやりとすると、彼は少しむっとした顔になった。
「そんな顔することたぁないだろ?刑事ならさっき部室に顔出したけど何も聞かれてないぞ。なんだ、エロ本見てたことばれたのか。」
 きまり悪そうな優樹にアキラが笑う。
 三年生のアキラは本来ならば今年この学園を卒業しているはずだった。それが出来なかった理由は、彼が二年生の夏休みに撮影旅行の目的で訪れたアメリカから帰国予定日を過ぎても帰らなかったためである。消息も掴めないまま年が明け、この春ようやく帰ってきたのだが、今までどうしていたのか両親をはじめ誰にも語ろうとはしなかった。友人達には「異星人に拉致されていた」と答えているようだったが、もちろん信じる者などいない。
 パイプ椅子から体を起こし、彼はゴムで結わえた長い髪を結びなおした。
「なんだ秋本は一緒じゃないのか?」
 優樹に付き合い何度か顔を出してるうちに、遼もすっかりこの部室の常連になっていた。
 給湯設備の整ったかなり広い部室には歴代の部員の作品が飾られているが、その多くはそれなりに名を知られている写真家となっている。またこの写真部から報道関係に進む者も多く、由緒ある写真部として学園からも一目置かれていた。現在の部員は十五名ほどだが、いつも部員以外の男子生徒が数人たむろして、おもいおもいの時間を好きに過ごしていた。
「秋本は、暫く休むかもしれません。」
 優樹の代わりに岡田が答える。中学から優樹と一緒で彼とは悪友同士と自認している岡田には、優樹が今、遼のことは何も言いたくないのだなと分かっていた。二人の間に何があったかは知らないが、遼のことをあまり好きではない自分にとってはかえって都合がいい。
「ま、お茶でも飲んでけよ。」
 アキラは自らコーヒーを沸かすために立ち上がった。

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「読んでやってるぞ」の一言でも!

<叢雲ご意見所>
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